「中学生の関係者なんていません。」
キッパリ否定された。
「あたし、蒔宮総司〔マキミヤ・ソウジ〕の娘です。」
生徒手帳を印籠のように、霧生の目の前に出してやった。
「えっ?院長の??あれ、院長って1人息子じゃなかったの?」
食い入るように生徒手帳を見入ってる。
相当、驚いてるわ。
まぁ…無理もないか。
あたしは小さい時。
死んだって葬式あげられたくらい。
親には嫌われてるから。
「3年もいて知らなかったの?まあ、あたしの存在、抹消されてるから。」
「…ごめんなさい。知らなかったとは言え。」
急激に口調は渋くなって、声のトーンも一気に落ちた。
これは完全に凹んじゃったって分かる。
「じゃあさ、お詫びにご飯食べに連れてって。」
顔を覗き込みながら、口元をゆるませて。
からかうつもりで言った。



