絢side

朝学校に行って、真っ先にクラス表を見る。


高橋絢! 1‐Bかあ・・・・

あ、藤川初音!

やったーーーー!!

親友と同じクラスなんて一年間楽しく過ごせそうだな♪


教室に入って自分の席を探す。

うっわ・・・・・・・・・。

一番前の席か・・・・・・・。

初音は一番後ろの席なんだね。


さすがに席までは近くならないか・・・・・・。


少し大げさに肩が、がっくりと落ちたと思う。



気を取り直して賑わっている教室から初音を探す。


・・・・まだ来てないのか・・・・。

それから、10分くらいが経って初音が教室に入ってきた。


「あ、初音~!おはよ。同じクラスだよ!てか、遅かったね?」

彼女に話しかけると、ニコっと微笑んで返事が返ってくる。

「おはよ。同じでよかった~。あ、遅れたのは~ちょっと寝坊で・・・・・・。」

最後の方は消え入りそうな細い小さな声だったけど。


「ふふっ、初音らしい」

初音は、大事な日に必ず遅刻をするんだ。

中学の入学式も卒業式と、修学旅行と遠足・・・・・

数えたらきりがない。


今日は遅刻にならずにすんだから初音は心底ほっとしているらしい。


入学早々遅刻なんて、良い印象つかないもんね?

まあ、初音の性格ならすぐ人気者になっちゃいそうだけど。


「絢・・・可愛い・・・・・」

初音がつぶやいた。

はあ・・・・・またぁ・・・・・・

「初音のが可愛い!!」

そう言うと、

「またまた・・・・お世辞はいいよ」

・・・・無自覚なんだから。

初音は本当、正直な子だから狙って言ってるわけじゃない。

心から自分は『地味子』だと思ってるんだ。

そんなはずないのにね。


さっきも、初音が教室に入ったとたん男子の視線がこの子に向けられてたのに。

全然気づかないし・・・・・

まあ、そんなところも可愛いんだけど♪