「エミリー様!どちらに行かれるのですか!」
「ニャ!」
「きゃっ!」
突然聞こえてきた大きな声で、驚きの声を上げる一人と一匹。
振り返ればシリウスがそこにいて、なんとも険しい顔をしていた。
「アラン様を探しに行くの。止めないで」
「そういう訳にはいきません。どうか、お部屋にお戻りください」
辛そうに顔を歪め、頭を下げるシリウス。
エミリーの気持ちは痛いほどに分かるのだ。
声を聞き付けて、玄関の警備二人も傍に来る。
「―――止めないで下さい!!」
ぴた・・と皆の動きが止まって、エミリーは一人一人の顔を見た。
「ごめんなさい・・・必ずアラン様をつれて帰ってくるわ」
エミリーはシャルルを抱き上げて走った。
目指すのは、シャクジの森の傍に建つリックの小屋だ。
窓から灯りが漏れていることにホッとして、当番がリックであることを祈りつつ扉を叩く。
誰だ?と出て来てつぶらな瞳を精一杯に丸くするリックをなんとか説得し、門の鍵を開けてもらった。
「エミリー様、私もご一緒致します」
「いいえ、リックさん、一人でいってきます。そうしなければいけないの。開けてくれて、ありがとう。どうぞ、ゆっくり休んでください。道は分かります、シャルルもいます。大丈夫ですから」
「全く、エミリー様には敵いませんな。どうぞ、お気をつけて行ってらっしゃいませ」
「はい。必ず、見つけてきます」
リックから灯りを借りて、シャクジの森の中を進む。
確か、アランと一緒に草原まで行った時にあった印は、白い三角だったはずだ。
大きな石や倒れた木をヨイショと乗り越え、シャルルと一緒に道なき道を進む。
馬でないととても遠いし、獣の声が聞こえて怖い。
けれど、エミリーは一心に前を見て進んだ。
途中手頃な石を見つけ、抱えて運ぶ。
たまに、手や足に木枝が引っ掛かるけれどそんなのは構っていられない。
やがて水音が聞こえ始め、シャクジの花咲き乱れる草原に辿り着いた。
大きな木の根元、世界の狭間の入口に立つ。
ここは、あの時塞がれたままだ。
「アラン様」
名を呼びかければ、箱状に造られた木の隙間から、目映いほどの光りが漏れ出る。
エミリーは抱えてきた石を力一杯投げつけた。
バキ・・と、音はするものの丈夫に作られたそれは一度では壊れることがなく、何度も何度も拾っては投げつける。
はあはあと息が切れ、石を持ち上げる力もなくなりかけた頃、漸く、箱が壊れてくれた。
チカチカと光りを放つ空間が現れる。
エミリーはポケットの中から月の雫を取り出し、胸に当て、アランの姿を強く思う。
「アラン様、どこに、いますか・・・」
一心に想っていると、てのひらの中の月の雫から一本の光りの線が延びた。
それは、糸のように細いけれど、まっすぐに狭間の中に入っている。
「シャルル、行きましょう」
「ニャ!」
「きゃっ!」
突然聞こえてきた大きな声で、驚きの声を上げる一人と一匹。
振り返ればシリウスがそこにいて、なんとも険しい顔をしていた。
「アラン様を探しに行くの。止めないで」
「そういう訳にはいきません。どうか、お部屋にお戻りください」
辛そうに顔を歪め、頭を下げるシリウス。
エミリーの気持ちは痛いほどに分かるのだ。
声を聞き付けて、玄関の警備二人も傍に来る。
「―――止めないで下さい!!」
ぴた・・と皆の動きが止まって、エミリーは一人一人の顔を見た。
「ごめんなさい・・・必ずアラン様をつれて帰ってくるわ」
エミリーはシャルルを抱き上げて走った。
目指すのは、シャクジの森の傍に建つリックの小屋だ。
窓から灯りが漏れていることにホッとして、当番がリックであることを祈りつつ扉を叩く。
誰だ?と出て来てつぶらな瞳を精一杯に丸くするリックをなんとか説得し、門の鍵を開けてもらった。
「エミリー様、私もご一緒致します」
「いいえ、リックさん、一人でいってきます。そうしなければいけないの。開けてくれて、ありがとう。どうぞ、ゆっくり休んでください。道は分かります、シャルルもいます。大丈夫ですから」
「全く、エミリー様には敵いませんな。どうぞ、お気をつけて行ってらっしゃいませ」
「はい。必ず、見つけてきます」
リックから灯りを借りて、シャクジの森の中を進む。
確か、アランと一緒に草原まで行った時にあった印は、白い三角だったはずだ。
大きな石や倒れた木をヨイショと乗り越え、シャルルと一緒に道なき道を進む。
馬でないととても遠いし、獣の声が聞こえて怖い。
けれど、エミリーは一心に前を見て進んだ。
途中手頃な石を見つけ、抱えて運ぶ。
たまに、手や足に木枝が引っ掛かるけれどそんなのは構っていられない。
やがて水音が聞こえ始め、シャクジの花咲き乱れる草原に辿り着いた。
大きな木の根元、世界の狭間の入口に立つ。
ここは、あの時塞がれたままだ。
「アラン様」
名を呼びかければ、箱状に造られた木の隙間から、目映いほどの光りが漏れ出る。
エミリーは抱えてきた石を力一杯投げつけた。
バキ・・と、音はするものの丈夫に作られたそれは一度では壊れることがなく、何度も何度も拾っては投げつける。
はあはあと息が切れ、石を持ち上げる力もなくなりかけた頃、漸く、箱が壊れてくれた。
チカチカと光りを放つ空間が現れる。
エミリーはポケットの中から月の雫を取り出し、胸に当て、アランの姿を強く思う。
「アラン様、どこに、いますか・・・」
一心に想っていると、てのひらの中の月の雫から一本の光りの線が延びた。
それは、糸のように細いけれど、まっすぐに狭間の中に入っている。
「シャルル、行きましょう」


