話を聞き終えたアランは暫く考え込んだ後、エミリーに言った。
「その女性が何者かは分からぬが、消えたのは君が話を聞いたためだな。君の優しさに触れ、気が晴れたのだろう。恐らく、もう闇に引き込まれることはない。だからもう、この事は考えてはならぬ。良いな――――」
――――その日の夜。
ベッドの中で、いつも通り逞しい腕にすっぽりと包まれるエミリー。
武骨な指は横髪をゆっくりと梳いていて、たまに、額や髪に唇が落とされる。
一日の終わり。
掌から指先から全身からアランの優しさを感じて、あたたかくて心地よくて、賊に拐われそうになったことも暗闇に居たことも、怖かったこと全てが遠い彼方に吹き飛んでしまう。
幸せな気持ちに浸れる時間だ。
耳を掠める指が気持ちよくて、半ばぽやぽやしながらアランの名を呼ぶエミリー。
すると、眠れ、とばかりに瞼に唇が落とされた。
唇は塞がれず、どうやら今夜は体を重ねるつもりはないようだと分かる。
そんな夜、アランはいつも肩肘を立ててリラックスした姿勢でいて、眠るまでの間、エミリーの髪や頬を優しく撫でながらゆっくりと過ごす。
そして、極々たまに寝物語の代わりに長い話をしてくれることもあって、新たな一面を発見したりするのだ。
熱い夜が多い二人だけれど、こんな静かな時もたまには訪れる。
だから、この時、エミリーはあることに気が付いてしまったのだ。
「あの、アラン様は・・・よく眠れていますか?」
「無論だ。いつも通りよく眠れておるぞ。・・・何だ?どこか違うか?」
「はい。あの、だから・・えっと・・・お部屋のベッドで眠った方がいいとおもいます」
「・・・何故、その様なことを申す?」
髪を撫でる手をぴたりと止めたアランの声がとても低い。
囁きかけるような言い方でとても優しいのだけれど、瞳がすぅ・・と細くなっていく。
ちょっぴり怒らせてしまったよう。
エミリーはこくんと息を飲んだ。
何だか、勘違いさせてしまったのかも?
「ぁ・・あの、でも、アラン様にはとても狭いでしょう?」
慌ててそう言うと、アランは「狭い?」と呟いて、眉を寄せつつベッドを見た。
そうなのだ。
ここはギディオンとは違い、ベッドが小さくて二人並んで眠るにはとても窮屈なのだ。
腕に包まれて眠れるのはとても安心できるし、エミリーには何の問題もないのだけれど、体の大きなアランは違う。
落ちないよう気遣ってしまい、よく眠れないだろうと思うのだ。
だって、アランの体のすぐ向こうに、ベッドの端っこが見えるのだから。
「その女性が何者かは分からぬが、消えたのは君が話を聞いたためだな。君の優しさに触れ、気が晴れたのだろう。恐らく、もう闇に引き込まれることはない。だからもう、この事は考えてはならぬ。良いな――――」
――――その日の夜。
ベッドの中で、いつも通り逞しい腕にすっぽりと包まれるエミリー。
武骨な指は横髪をゆっくりと梳いていて、たまに、額や髪に唇が落とされる。
一日の終わり。
掌から指先から全身からアランの優しさを感じて、あたたかくて心地よくて、賊に拐われそうになったことも暗闇に居たことも、怖かったこと全てが遠い彼方に吹き飛んでしまう。
幸せな気持ちに浸れる時間だ。
耳を掠める指が気持ちよくて、半ばぽやぽやしながらアランの名を呼ぶエミリー。
すると、眠れ、とばかりに瞼に唇が落とされた。
唇は塞がれず、どうやら今夜は体を重ねるつもりはないようだと分かる。
そんな夜、アランはいつも肩肘を立ててリラックスした姿勢でいて、眠るまでの間、エミリーの髪や頬を優しく撫でながらゆっくりと過ごす。
そして、極々たまに寝物語の代わりに長い話をしてくれることもあって、新たな一面を発見したりするのだ。
熱い夜が多い二人だけれど、こんな静かな時もたまには訪れる。
だから、この時、エミリーはあることに気が付いてしまったのだ。
「あの、アラン様は・・・よく眠れていますか?」
「無論だ。いつも通りよく眠れておるぞ。・・・何だ?どこか違うか?」
「はい。あの、だから・・えっと・・・お部屋のベッドで眠った方がいいとおもいます」
「・・・何故、その様なことを申す?」
髪を撫でる手をぴたりと止めたアランの声がとても低い。
囁きかけるような言い方でとても優しいのだけれど、瞳がすぅ・・と細くなっていく。
ちょっぴり怒らせてしまったよう。
エミリーはこくんと息を飲んだ。
何だか、勘違いさせてしまったのかも?
「ぁ・・あの、でも、アラン様にはとても狭いでしょう?」
慌ててそう言うと、アランは「狭い?」と呟いて、眉を寄せつつベッドを見た。
そうなのだ。
ここはギディオンとは違い、ベッドが小さくて二人並んで眠るにはとても窮屈なのだ。
腕に包まれて眠れるのはとても安心できるし、エミリーには何の問題もないのだけれど、体の大きなアランは違う。
落ちないよう気遣ってしまい、よく眠れないだろうと思うのだ。
だって、アランの体のすぐ向こうに、ベッドの端っこが見えるのだから。


