学校に着いた頃には、空はどんよりと曇っていた。
薄暗い教室には、半分だけ蛍光灯がつけられている。
「おはよ、まりあ」
「あ、おはよー、清良(きよら)」
声をかけてきたのは、友達の西尾清良(にしお・きよら)。
こんな田舎に似合わない、派手な顔の美人だ。
ウェーブがかかったボブヘアーは、明るい茶色で、華やかな彼女によく似合っている。
長い黒髪ストレートのあたしとは、まるで反対だ。
「なに、ご機嫌さんじゃん?」
「うん、太一がね、誕プレくれたんだ。
意外な人からもらうと嬉しくない?」
ニヤニヤと笑うあたしを見て、清良も笑った。
「そっか、17歳の誕生日だもんね。
おめでとう!」
そう言うと清良まで、あたしに小さな包みを差し出した。
「わぁ!もらっていいの?」
「うん」
「ありがとう~♪何かな~♪」
お洒落で気が利く清良だもの、
自然と太一のプレゼントより期待をしてしまう。



