「行ってきまーす」
太一と一緒に家を出る。
空は晴れだか曇りだかはっきりしない。
「雨降るかなぁ?」
「そうだな……。一応折りたたみ、持って行こうか」
太一の提案で、玄関に置いてあった折り畳み傘を持って、敷地を出た。
うちはものすごく、泥棒に狙われやすいと思う。
周りに木が繁っていて、中の様子はさっぱり見えないから。
学校へは、歩いて40分。まぁまぁ遠い。
けど、校則の自転車通学が許可される範囲からギリギリ外れてしまっているため、
毎日田んぼの横のあぜ道を通って歩いているのだ。
「姉ちゃんももう17歳か……。俺も歳とるわけだ」
「何それ、年下のくせに」
太一はヘへ、と笑う。
そして、ポケットから小さな箱を取り出した。
「姉ちゃん、これあげる」
「えっ?」
「誕プレだよ」
まだあどけなさが残るイタズラっ子のような表情で、太一はニヤリと笑った。



