しかも、今はフリーだ……。
もうすぐ、クリスマスだというのに。
留衣兄さんも、そろそろ見合いを……。
とか言ってくるし。
まだ20代だっつうの!
てか、結婚はゴールじゃないんだよ?
足枷だよ、足枷。
絶対、独身の方が、自由だもん。
……結婚して幸せな皆は、
「負け惜しみにしか聞こえな~い」
……らしいけど……。
「もう良いや!
寝よう!寝てやる!」
相変わらず、暗い天気予報が流れるテレビをブチッと消して、
ベッドにもぐりこんだ。
あぁ寒い。
足が冷える。
誰か、あたためてくれないかな……。
そんな時思い出すのは、いつも初恋のあの人だった。
今では夢だったように思える、あの夏に出会った……
銀髪に、紫色の瞳の彼。
彼の、あたしを呼ぶ声も。
あの日差し出された、何も乗っていなかった手のひらも。
クリスタルみたいだった涙も。
全部、覚えてる。
まだあたしは、鮮やかに彼を思い出す事ができていた。