「あ……っ」
「どうした?」
「あ、はは……。
瑛さん、あたしね、すごいよ。
これ、最初の夢で見たの……」
そう、誕生日の日。
あたしは、誰かに抱きしめられる夢を見た。
とても、幸せな……。
あたたかい、夢だった。
「あたし達、出会う前から、
こうなる事が……決まってたんだよ……」
彼の頬を、優しくなでると。
「……そうか……」
瑛さんは、紫色の瞳を細めて。
優しく笑った。
とても、幸せそうに。
ああ。
貴方だったんだ。
貴方の腕が、あたしを抱きしめてる。
本当に、幸せだよ。
呼吸をするだけで、肺が愛しさで満たされるの。
思い出した……夢の中の、貴方の香り。
あたしは、貴方を探していた。
求めていた。
そうなんだね。



