「……まりあ」
「なに……？」
「お前が、ほしい」
きつく抱きしめられ、耳元で囁かれた。
羞恥より、恐怖より、喜びが胸を熱くする。
全てを諦めていた、この人が。
ほしいと思ってくれたのが、自分だなんて。
それは、奇跡だ。
「……いいよ……」
こんな普通のあたしで良ければ。
全部、あげるよ。
小さくうなずくと、また口づけが与えられた。
ふわりと落ちた、羽根のようなキス。
そして、戦いで傷ついたお互いの胸に、
癒すように触れた優しい指は、
甘さと激しさを加速させて絡み合って……。
あたしたちは初めて、ひとつになった。
あたしは全身で、
わかりにくいけど大きな、彼の愛情を受け止めて。
自分の不器用な両腕で、
彼を必死で包もうとした。
傷だらけの彼の身体を抱きしめたら、涙が溢れた。
よくここまで、一人で、頑張ったね。
泣かないで、偉かったね。
もう、一人じゃないからね。
離れてたって、いつもそばにいるよ。
だから……。
幸せで、いてね……。
