「これが、母の最後の予言になった」



留衣さんが、声のトーンを落とした。



「身を切るような思いで手離した君が、
困難に巻き込まれるのを夢で見たらしい。

亡くなる直前まで、まりあを心配していたよ」



身を切るような思いで……。


そうだったんだ……。



「母が亡くなった直後、ある政治団体から接触があった。

新しい夢見姫に会わせてほしいと。

それが多分、君をさらおうとした輩だ」


「政治団体?」


「そう。うちに新しい姫はいないと、お断りしたんだけどね。

予言の事も君の事も、どこかからか知られているらしいな」



政治団体って……。


偉い人達はこの国の舵取りを、占いや予言に頼ってるって事?


何て無責任な……。



「どこからかって、どこですか」



あの車を思い出して嫌悪感を感じている間に、太一が質問した。