六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】



そこで母は、それまでの星見が言われた事のない事を言われました。


貴女は子供を産む事になる。


それでも、力は消えない、と。


理由はわかりません。


ただ母は、本当に私を産んでからも、星見として占いを続けました。


両方の道を手に入れたのは、後にも先にも母だけ……。


しかし母は、夢見姫を恨みました。


それは……。


夢見姫に、結婚相手まで決められてしまったからでした。


母は、密かに想いを寄せていた方がいたのです。


しかし夢見姫が一言、相手の星見の名を口にしたら、

すぐに結婚が決まってしまったのです。


夢見姫は、

「たかが夢で見ただけです。

好きな人と結婚しなさい。

力を失ってもかまわないではないですか」

と言ったそうです。


しかし、知立家の者達は、結婚しても力を失わない奇跡を取った。


夢見姫の予言が、『たかが』で済まされるわけがなかったのです。