「これが、君の産まれる直前の予言だ」
留衣さんの指さしたところを、四人でのぞきこむ。
『明晩、次代の夢見姫となる女児が誕生す。
彼女が十七になる直前、私は天に召されるであろう。
私の力はそこで娘に受け継がれ、やがて覚醒す』
「夢見姫は寝ている間、寝言で予言をする。
寝所には常に筆記者が侍(はべ)り、記録をしたのがこれだ。
そしてこちらが、母の最後の予言だ」
留衣さんは、別の巻物を取り出した。
さっきの予言の意味を考える暇もなく、続きを読み上げる。
『邪悪な思惑を持ちし者達、次代夢見姫を狙い、接近す。
困難と災厄、次々に姫を襲わん。
夢見姫、側近等と共に、六花(りっか)の翼を出現させ、
この世の混乱を収めるべし』
……予言は、そこで途切れていた。



