「……どうする、まりあ」
留衣さんがあたしに尋ねた。
琴さんの目からは、涙がポタポタと落ちている。
それを見ると、余計に胸がしめつけられた。
「……行きます」
「まりあ」
清良があたしをにらんだ。
「あたし一人でも行く。
琴さん、道案内してくれますか?」
「待てよ、姉ちゃん。
瑛さんを助けてやりたいのはわかるよ。
でもこの人が嘘をついてるかもしれない。
また姉ちゃんを取り戻す作戦かも」
「そんな事ありません……!」
太一の疑いに、琴さんは泣きながら反論した。
「……その前に、説明してもらおうか」
留衣さんが、琴さんを起こして言った。
「岡崎一族に起こった本当の事を。
僕も母の名誉を傷つけられたままじゃ、簡単に加勢はできない」
留衣さんは、いつになく厳しい声できっぱり言った。



