六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】



あたし達に気づいた琴さんは、その場に膝をついた。


「助けてください!

お願いします!」


そんな悲鳴のような言葉を吐きながら、頭を下げる。


あたし達は全員、呆気に取られてしまった。


「こんな事を頼めた立場でない事はわかっています。

ですが、お願いします……!

瑛様を、助けてください!」


「瑛さん……

やっぱり、捕まって……」


あたしが言うと、琴さんはうなずいた。


「瑛様は、夜明けにお戻りになられて……

族長に、すぐに捕らえられてしまいました」


「……!」


背中を冷たいものが走っていく。


瑛さん……。


「翼は……。

翼は、どうなったの?」


「まだ、瑛様の背中に生えたままです」


「そんな……!」


六花の翼は、明らかに瑛さんの霊力を餌にして根付いていた。


瑛さんが気を失えば、翼は消えるものだと思ってたのに。