六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】





留衣さんが玄関を開ける。


あたし達は廊下に待機していた。


もしかすると、忍の襲撃かもしれない。


太一はお札を構え、清良やオーリィもそれぞれ集中して見守った。


すると。


ドンドン!


玄関のドアが外から叩かれた。


「あれ?」


敵ならこんな事はしないはず。


あたし達が顔を見合わせている間に、

大丈夫だと判断した留衣さんがドアを開けた。


「あっ!」


入ってきたのは、意外な人物――。


髪を振り乱し、着物が気崩れている。


その人は、琴さんだった。


「……どうして……」


留衣さんも反応に困り、声を失う。


琴さんは、走ってきたかのように息を切らせていた。


「助けて……!」


小さな声でそう言うと、彼女は留衣さんにすがりついた。


「助けてって?今更何よ」


清良がずい、と前に出た。