六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】



清良の言うことは、わかる。


わかるけど……。


「……?」


キィィィィィ。


突然、耳鳴りのような音が部屋に響く。


「結界が……」


耳を押さえて、留衣さんが立ち上がった。


「結界に、何者かが侵入しようとしてる。

様子を見てくるよ」


「まさか、岡崎一族の忍?」


「……そんな強い気は感じないけれど……」


清良の質問に、留衣さんは首をかしげながら答えた。


「不気味やなぁ。

皆で行った方がええんちゃう?」


「うん。

留衣さん、俺達もついていきます」


「それは心強いな」


留衣さんは小さく笑った。


あたしがアッサリさらわれた事で、

皆が神経質になっているのがわかった。


仲間と離れるのが、こんなに心細いなんて、

あたしも知らなかったのだから。