六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】



あたしはベッドから飛び降り、窓際に走り出した。


「瑛さん……!」

「まりあっ!」


窓枠に手をかけたあたしを、清良が羽交い締めにする。


「離して!!

瑛さんを助けなきゃ!!」


窓の外は、まだ明るい。


まだ、間に合うかもしれない……!


「まりあ、無理だよ!!

もう村には近づかない!!

あたし達は、帰るの!!」


「いやっ、いやだ!!

離して!!

行かせてえぇぇぇっ!!」


叫び声を聞いたのか、部屋のドアが乱暴に開けられた。


「どないしたんや!?」


「いいから、とめてよっ!」


戸惑った顔のまま、オーリィがあたしを抱きしめる。


「触らないでえぇぇっ!!

瑛さん!瑛さん!瑛さん!!」


両手で叩いた胸は厚くて、びくともしない。


「まりあ、落ち着け!

落ち着かんかったら、助けられるもんも助けられへん!」


耳元でそう言われ、力が抜けていく。