六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】



「そう。例えば、夢見姫が【雨よ降れ】と念じれば、雨が降る。

夢見姫が本気で念じれば、叶わない事はない。

それは、太古の昔から残る文献や、僕達の母の話から明らかだ」



うそーん。まさかぁ。


信じる事が力になるって?


予備校の宣伝文句じゃないんだから。


全く信じられないあたしの横で、太一がうなった。



「それ……本当だったんですか……

父から聞いてたけど、信じてませんでした」



清良も、眉をひそめている。



「その夢見姫の力が、まりあ、君の体に眠っている。

母の予言によると、少しずつ目覚めていくはずだ」


「予言……」


「あ、そうだ。

その話もしておかなきゃな」



留衣さんは一度部屋から離れ、巻物のようなものを持ってきた。


テーブルの上に広げられたそれには、
筆で書いたような文字が並んでいた。