六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】



「はい、的中率100%だからです」



清良が手を挙げて答えた。


留衣さんは、にこりと笑う。



「それもそうだ。

だけど、それだけじゃない。

音羽家当主の夢見姫(ゆめみひめ)は……奇跡を起こす事ができるからだ」


「奇跡……?」


「予言の力だけじゃなく、他の術者にはない特別な力がある」



何それ?


清良や太一の方を見ても、ぽかんとしている。


岡崎さんの方を見ると、彼は当然のような顔で、口を開いた。



「当主の夢見姫だけは、念力が使える。

俺達忍の者のような手品ではないし、

陰陽師のように真言(しんごん)を唱えなくてもいい」


「真言?」


「呪文と思え。

多くの術者は真言を唱えて術を使う。

だが、夢見姫は違う。

夢見姫は、ただ【念じる】だけで、物事を動かす事ができる」



岡崎さんの言葉に、留衣さんがうなずく。