白い欠片は、みるみるうちに砦に侵入し、炎を消していく。
そして、それらは、あたしの祈りで。
横たわった瑛さんの背中に、降り積もっていく。
「まさか、【六花の翼】か……!?」
滋の声がした。
多分、あたしの祈りを阻止しようとしたのだろう。
しかし、投げつけられた短刀は、あたしの霊力の壁に弾かれた。
「ぅ、あ、ああぁぁぁぁあ!!」
真夏の空に雪を降らせ、それだけで底がつきそうな霊力を燃やす。
六花はまだ、翼の形にならない。
「やめ、ろ、
お前の力が尽きてしまう……!」
瑛さんが苦しげな声を出す。
その目には、あたしに対する慈しみがあった。
(翼を……!!
六花よ、お願い、翼になって……!!)
「わぁぁっ、あぁあああああぁぁ!!」
身体中が熱い。
燃えていく霊力が発火しているようだった。



