六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】



「まず……この家の事を説明しようか。

まりあ以外は、もう既に知ってる話だろうから、申し訳ないけど」


「えっ、そうなの?」



三人は三人とも、うなずいた。



「この音羽家が、太古の昔から続く夢見の一族だという事は知っているね?」



留衣さんは、あたしにだけ話しかけてきた。



「はい……」


「音羽家の当主は、代々女性と決まっているんだ。

男にも力は現れるけれど、女性の比にはならない。

開祖の強い力は、女性にだけ受け継がれてきた」



女性にだけ……。


だからお兄さんは狙われないけど、あたしが狙われる……。



「音羽家の女性は、夢で吉凶を占う事ができる。

母が未来を予言したと言う話は聞いただろう?

しかしそれだけなら、他の一族に天を見て占う、星見(ほしみ)や、陰陽師でもできる。

じゃあ何故、音羽家の予言が一番信用されるのだと思う?」