六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】



あたしは留衣さんに抱きしめられたまま、少し泣いてしまった。


この人は、本当に、あたしのお兄さんだ……。


そう実感したら。


今まで感じた事のなかった不思議な感情が、込み上げてきてしまったんだ。



「……留衣さん、話をしないと時間がありません」



兄妹の感動の再会にあっさり水をさしたのは、やはり岡崎さんだった。



「あぁ、そうだね、すまない。

まりあ、座ってくれるかな。

あとで、母さんのところ……仏間に案内するから」


「はい……」



留衣さんに促され、あたしはのろのろと座る。


太一と清良が、岡崎さんを信じられないという目でにらんでいた。



「さて……。

何から説明しようかな……」



あたし達に向き合うように、留衣さんも腰を下ろす。


その所作の1つ1つが、驚くほど優雅だった。


留衣さんは、優しい声で話を始めた。