「我等が一族の悲願が、達成されようというのだぞ。
もう、日陰でこそこそと隠れるように暮らさなくても良いのだ」
「……どうでもいい……」
「何……?」
「世界とか、歴史とか、俺には関係ない。
この星が近代文明に汚されて滅びようが、知った事か」
きっぱりと言った瑛さんは、ちら、とこちらを振り返った。
「俺は……もう、この女を、泣かせたくはない。
まりあを兵器として扱うことは、させたくないだけだ」
まりあ。
さっきから、何度名前を呼んでくれただろう。
彼はもう、あたしを【夢見姫】とは呼ばなかった。
「はっ、どうした瑛。
一流の忍ともあろうお前が、
まさかそんな小娘に惑わされたのではあるまいな」
「笑えばいい。
お前には、決してわからない」
皮肉な笑いを浮かべた滋の頬が、ひくひくと引きつった。



