六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】



女性に案内された奥の部屋は、広い畳の居間だった。


そりゃ、日本家屋だから畳だろうけど。


ごく普通に見える和室に、
四人が横一列に並んで座れるほど大きな木のテーブル。


あたし達はお茶をすすりながら、この家の主が来るのを待った。



「すっごいお屋敷……

噂には聞いた事あったけど、これほどとはね」



清良が感嘆の声をあげた。



「姫様……姉ちゃんが、姫様だって、ぷぷぷ」


「な、何よぉ」



ふざけた太一の膝を叩くと、
初めて実の兄に会う前の緊張が、少し和らぐ。


そんなあたし達に、岡崎さんがうんざりした表情を見せた。



「お前ら、緊張感というものが無いのか?」


「わ、このお茶、おいしー!」


「あっ、このお菓子も美味しいよ、清良!」


「マジで?姉ちゃん、一個ちょーだい!」


「……無いみたいだな……」