六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】



音羽家は、新幹線を降りて、
タクシーに2時間乗った山奥にあった。



「……スゲー……」



新幹線を見た時とは別の『スゲー』が、太一の口から出た。


清良もあたしも口をあんぐりと開けて、それを見上げる。


多い繁る木の中に突然現れた古い日本家屋は、安城家の5倍は大きかった。


あたし、とんでもないお嬢様なのかも。



「はえぇ……」


「ぼんやりするな。お前の実家だ」



岡崎さんが先頭に立って、玄関を開けた。


中では、三つ指をついた着物姿の女性が頭を下げていた。



「お帰りなさいませ。姫様」


「へっ?」



姫様?って、もしかして……。



「お前だろう。他に誰がいる」


「あ、あたし?!」



ひ、姫様なんて。


ほら、太一も清良も唖然としてる。



「岡崎様、安城様、西尾様、皆様お疲れ様でした。

さぁ、どうぞこちらへ」