「……もう少ししたたかにならないと、
この先、生きていけないぞ」
「え……?」
「きっとこれから、お前の理解の範疇を超えた事が次々に起こるだろう。
その度に落ち込んだり泣いたりしてたら、身がもたない」
岡崎さんの言葉は、ただでさえ重いあたしの胸にのしかかる。
これから、次々に……。
岡崎さんはあたしを無視して話を続ける。
「命の危険は、俺が守る。
だからお前は、どっしり構えておけ。
事実を受け止める事だけを考えろ」
「……」
「返事は」
「あ、はい……」
俺が、守る。
その声は、自信に満ちていた。
よほど腕に覚えがあるのだろう。
何故か、胸が軽くなっていく。
あたしはそれから、彼に色々な質問をした。
岡崎さんはほとんど二言三言の短い言葉で、それに答えてくれた。



