「!!」
飛び起きると、あたりはまだ暗かった。
「……っ……」
今の夢は何だったの?
あれは本当に、瑛さんなの?
夢見姫は夢で未来を占うはず。
まさか他人の過去まで、見ることもあるのだろうか……。
背中がふるりと震えた。
真夏なのに、寒い。
昨日の、昼間。
彼の涙を見た。
どんな宝石より綺麗で、悲しい雫。
そのせいで、頭が勝手に作った幻かもしれない……。
あのかくれんぼの後、
あたし達は顔が元に戻ってから、皆の元へ別々に帰った。
何もなかったように、普通に。
夜に留衣さんが帰ってきた時には、
全員が同じ部屋で力尽きて寝ていて。
少しだけ、叱られた。
結局、蔵に行くのはまた今度という事になって。
そのまま、それぞれの部屋で眠りについたんだけど……。



