あたしを抱きしめた瑛さんの肩が、震えていた。
あたしは……。
泣かないと決めていたのに。
いつの間にか、一緒に泣いていた。
孤独とか、寂しさとか、
そんな言葉では言い表せないほど。
彼の心は、傷だらけだったのだ。
それが、やっとわかった。
今までは気づいているふりをしているだけだった。
合わさった胸から、彼の血液が流れ込んでくる錯覚。
自分の胸に、誰がつけたわけでもない傷が、
パクリと口を開けてそれを飲み込んでいる気がした。
メニュー
メニュー
この作品の感想を3つまで選択できます。
読み込み中…