「…………?」


自分の頬に湿気を感じて、瑛さんは首をかしげる。


そして、

ぼやけたのであろう視界を、手の甲でこすった。


そうしても、雫がまたひとつ、ぽたりと落ちてしまう。


「……っ、われた……」


「瑛さん……?」


「脳の奥が、壊れた。

どうして、くれる……」


壊れた。壊れた。


そう言って、彼は自分の目から出た雫を、ぬぐい続けた。


「瑛さん、どうしたの?

大丈夫?」


心配とは別のもので、

こちらの胸まで壊れそうになってしまう。


バラバラになってしまいそうな痛みを、必死にこらえた。