「…………?」
自分の頬に湿気を感じて、瑛さんは首をかしげる。
そして、
ぼやけたのであろう視界を、手の甲でこすった。
そうしても、雫がまたひとつ、ぽたりと落ちてしまう。
「……っ、われた……」
「瑛さん……?」
「脳の奥が、壊れた。
どうして、くれる……」
壊れた。壊れた。
そう言って、彼は自分の目から出た雫を、ぬぐい続けた。
「瑛さん、どうしたの?
大丈夫?」
心配とは別のもので、
こちらの胸まで壊れそうになってしまう。
バラバラになってしまいそうな痛みを、必死にこらえた。
メニュー
メニュー
この作品の感想を3つまで選択できます。
読み込み中…