「今まで、ありがとうございました」


「いや……すまない、

仕事を途中で投げるような真似をして」


「貴方が決めた事じゃないでしょう?

留衣さんが……」


「それは、そうだが」


彼は珍しく、うなだれたようだった。


狭い押入れの中で。


あたしの寂しさが、伝染してしまったんだろうか。


……そうなら、良いのに。



「もし……もう、二度と会えなくても」



口が、勝手に言葉を紡ぐ。



「ずっと、幸せでいてくださいね」