六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】



「……結婚は、いつするんですか……?」


「……帰ったら、すぐだろうな。

またいつ危険な仕事が入るか、わからないから……」


若い男は死ぬ前に、

一族のためになるべく子孫を残さなければならない。


そんな事情が見え隠れして、やはり辛かった。


けど、決めたんだ。


別れるまで、この人の前では泣かない。


「やっぱ、結婚式みたいなのするんですかね?」


「……一応は、するだろうな」


「綺麗でしょうね、琴さん。

今の日本で一番、綿帽子が似合いそう」


「何だそれは」


しょうもない話に、瑛さんは苦笑した。


「お子さん、楽しみですね。

あ、前にアキちゃんが変身したみたいな、

ぷち瑛だったら笑っちゃいますね」


「笑うな。

というか、まだできてもいないものを想像するな」


「あー、いいなぁ、琴さん。

あたしも早く結婚したい」


「……良いわけ、ないだろう」


突然、瑛さんの声が低くなった。