「それと、鞄の中にあった瓶。

あれも護符(ごふ)のつもりだろうが、何の役にも立たなかったな」


「あ、あれは、直接まとって初めて、効果が出るんだよ!」



太一が言い返す。


鞄の中は見てないはずなのに、そんなの、何でわかるの?


呆気にとられていると、銀髪の彼は腕組みをして、部屋の天井をぐるりと見渡した。



「この屋敷の結界もスキだらけだ。

こんなへっぽこ陰陽師一家とへっぽこ侍しかいないんじゃ、
そりゃあ本家も黙っていられないよな」


「結界って?」


「……本当に何も知らないのか。

こんな役立たず、守って何の価値があるんだか」



次々に悪口を言われたあたし達は、
一様に彼に同じ感情を持った。


こいつ、いけ好かない……。


顔の綺麗さと、口の悪さが完全に反比例してる。



「まぁ良い」



岡崎瑛は、その紫色の目で、あたしを見つめた。