六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】



「……そうですね……」


あたしは、それだけ言って微笑んだ。


留衣さんはうなずき、

「じゃあ、後で話す事にしよう」

と言った。



その後、皆でケーキを食べた。


瑛さんのお祝いのケーキだ。


彼はあまり食べた事のないそれを、慎重に口に運んでいた。


そんな事は覚えてるのに、あたしは自分がどんな顔で何を話したか。


布団に入っても、思い出せなかった。


ただ、昼間枯れたと思っていた涙が、

シーツにシミを作っていたのを。


ぼんやり、見ていた。


きっと今頃、留衣さんが彼に話をしているのだろう……。