「特に……何も。
あたしの好きにしたら良い、
という感じだったかな」
清良にしたように、また無理に笑う。
もう、自分がどうやって普通に笑ってたのか、わからない。
「……そう」
留衣さんは静かにうなずいた。
そして、ゆっくりと。
再度、口を開いた。
「じゃあ……彼を村に帰そうか」
「え……っ?」
「瑛の力が封印には必要と、母さんが言ったんだよね。
だけど、忍の力は夢見姫のように、
唯一無二のものじゃない。
他の忍でも良いはずだ」
「何で、いきなり……」
突然目の前が、1トーン暗くなった気がした。
留衣さんは、冷静に話してるだけなのに……。
「戦いが無い間は、あれだけの力はいらないだろう?
許嫁もいる事だし。
あまり待たせては気の毒だろう」
「…………」
それは、
たった今さっき、覚悟していた事だった。



