六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】



「冗談だったから!

もう、謝ってもらったし!」


「あっいつ……人の気も知らないで!!」


「知るわけないよ、言ってないんだもん。

あのバカ忍者は、

死んだって乙女心なんかわからないよ!」


ねぇ、あはは~と無理に笑う。


清良は何とか怒りを抑え、畳に座り直した。


「悔しい……」



「清良、大丈夫、大丈夫だから」


「ごめん、何もできなくて。

ホント、悔しいよ……」


そう言うと、清良はあたしを抱きしめた。


「ダメ、また泣けちゃうよ、清良ぁ……」


「泣けば!全然構わないよ!」


「清良……っ……」


清良の胸は温かくて、柔らかいから。


思わず、頼りそうになっちゃうけど。


あたしは唇を噛んで、耐えた。


泣きたくない。


もう泣いたんだ。


だから、

きっとすぐそこまで来てる、別れの日までは。


笑っていよう。


そう、決めたんだ。