夕方、部屋に帰ったあたしを待っていたのは、

清良の詰問だった。


結局あのあと、あたしは泣き疲れて蔵の中で眠ってしまい、

なんだかのどかな夢を見てしまった。


「……で、何があったの?」


「何がって……?」


下手なごまかし笑いは通用しなかった。


清良はあたしの顔をのぞきこむ。


「瑛と喧嘩したでしょ」


「えっ?……別に……」


「嘘つけ!

じゃああいつの頬が腫れてたのは何でよ?」


思わず「あっ」と、声が出てしまった。


清良はそれを聞き逃さない。


「ただ事じゃないでしょ、アンタが人を叩くなんて。

しかも瑛もボケーッとしてたし。

怖くてツッコめなかったんだから!」


「あ、あは、あれねぇ……

どーにも腹が立つ事言われてさ……」


「なんて?」


「それは、ちょっと……」


言葉を濁すと、清良はキッとあたしをにらんで。


ぺシッ。


軽く、頭を叩いた。