俺はうなずく事しか出来ない。


『どうか、忘れませぬように……

恨みの炎を』



最後にそう言い残し、琴は村へ帰っていった。


静かになった部屋の結界が剥がれ落ちていく。


あの女の、むせかえるような花のような香りを残して。


俺は叫びたくなったのを、奥歯を噛んで必死にこらえた。