『力が?』


『そう。

貴方は長く、夢見姫達といすぎた。


そのせいで、本来の輝きを失い、

彼等の星の引力に負けてしまいそうになっている』


『…………』


なんと答えて良いかわからなかった。


琴は、知立家の中でも最高位の星見。


彼女が星を見誤ることは、そうそう無い……。


『ゆめゆめ、お忘れめされるな』


琴の声が脳に響く。


『貴方が背負うものの重さを。

貴方の働きに一族の命運がかかっているのです。

途中で逃げ出そうものなら、お母様がどうなるか……』


『わかっている!』


思わぬ大声が出て驚いたのは、

琴だけでなく自分自身もだった。


琴は怯まずに、言葉を送り続ける。


『貴方の星が輝けるのは、一族にいるから。

一族のおかげなの。

そこから離れては、生きていけない。

勘違いされぬように。

夢見姫達の世界が、正しいなどと。

それは、一時の気の迷いにすぎません』