時が経った今ならわかるよ。



あたし達は、お互いに、つなわたりの真っ最中だったんだよね。



これ以上、お互いの領域に、踏み入れるかどうか。



自分の生きてきた世界を否定するかもしれない、

相手の世界に踏み入れるかどうか。



一歩間違えば、待っているのは奈落だけ。



あたし達はそれをわかってたから、臆病になった。



どこにも、進めなかった。



ギリギリの線を保つ事に、精一杯だった。








あの時、伝えられていたら。



好きだと言えていたら。



その後の悲劇の幕は、上がらなかったのかな。



あたしの隣には、今、貴方がいたのかな。



なんてね。



結局、どうにもならなかったよね。



でも。



まだ時々、頭をよぎる事があるよ。



あの時、あたしに、勇気があったなら。



そう、思うよ。