六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】



すると……。



瑛さんの目も、少しだけ、笑って。



「お前は、その方がいい」



そう言った。



その顔に、思わず見とれていたら。



彼の手が、ためらうように動いた。



長い指が、あたしの後頭部の髪をすくう。



ぼんやりしていたら、鼻先に何かがサラリと当たって……。



それが彼の前髪だと理解する前に、何故か。



あたしは、まぶたを閉じていた。



何かに、導かれるように……。