すると……。 瑛さんの目も、少しだけ、笑って。 「お前は、その方がいい」 そう言った。 その顔に、思わず見とれていたら。 彼の手が、ためらうように動いた。 長い指が、あたしの後頭部の髪をすくう。 ぼんやりしていたら、鼻先に何かがサラリと当たって……。 それが彼の前髪だと理解する前に、何故か。 あたしは、まぶたを閉じていた。 何かに、導かれるように……。