額をつけたまま、瑛さんは話しだす。
「本当に、ただ、
からかってやろうと思っただけなんだ」
「……最低……」
「すまない」
「琴さんに、言いつけてやる」
「好きにしろ」
呼吸は不思議と、少し落ち着いてきた。
しかし涙は1つ、また1つと落ちていく。
「お前だから……お前なら、
笑って許してくれると思ったんだ……」
「……は?」
「睡眠薬の時も、怒らなかった」
「あれは、寝ちゃったし、太一がいたから!」
「だが、戦いの後、冗談にしていた」
「そりゃあ、そんな事より、
貴方の怪我の方が心配だったからでしょ?」
ふわり、と額が離れて。
紫色の瞳が、あたしを見つめた。
「そうなのか?」
「そう……です」
「俺はてっきり、
お前は、そういう冗談に慣れているのかと……」
「そんなわけないでしょ!!」



