六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】



いつか、わかりあえると思ってた。



少しずつ、近づけてると思ってた。



何も、聞かなくても。言わなくても。



自分の運命に立ち向かうあたし達は、同じ傷を負って。



必死で、自分自身を繋ぎとめたくて。



そんなところが一緒だから。



わかりあえると、思ってたのに。



恥ずかしくて、みっともない。



だけど、涙が、悲鳴が、止まらない。



「……もう、泣くな……」


絞り出すような瑛さんの声が聞こえる。


「貴方が、泣かせたんでしょ!」


思わず顔を上げると。


「わかってる。すまなかった」


瑛さんが、謝った。


意外な事に、声が出なくなる。


「…………」


「すまなかった……」



こつん。


瑛さんが下げた頭が、あたしの額にぶつかった。


「俺が、悪かった」


そう言って。


彼はもう一度、謝った。