六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】



「そりゃあ、あんなに綺麗な許嫁がいたら、

帰りたくてしょうがないでしょうけどっ!


あたしが力を失えば、堂々と帰れますもんね!」


「誰がそんな事を言った」


「いつもいつも、残酷なくらい本音しか言わないのにっ、

こんな、冗談なんか、言わないでよぉぉっ!!」



会話になってない。


あたしが一方的にわめいてるだけ。



だって、悔しかったんだ。



あたしは。



彼に、愛されてないから。



それを、思い知らされたから。



「し、かっ……に……」


「何だって?」


「嬉しかった、怖い夢見たとき、

あたしは、【夢見姫】なんかじゃ、ないって……。


“わかってる”って、言ってくれた……」


「…………」


「嬉しかったのに……。


貴方は、いつも、結局、

あたしを夢見姫としてしか、見てなくて……っ」


「そんな事……」


「もう嫌だ!!大っ嫌い!!」