六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】



……その一瞬で頭に血が昇り。



パァン!!



乾いた音が、響いた。



手が痛い。



瑛さんの頬を殴った。



だから、手が、痛い。



「……っ……」


「っ、バカああぁッ!!」



マヌケにも腰が抜けてしまったあたしは、

悪態をつきながらも床にへたりこんでしまった。


涙が、ポロポロと自分の頬を落ちて、床にシミを作る。



「っ、おい、冗談だろう?

何をそんなに……」



さっきとは違う声に、胸で何かが壊れていく。


「な……っにが冗談よ、

このバカバカバカバカ、

バカ忍者!」


「バカ忍者……っ?」


「そんなに早く帰りたいなら、帰ればいいじゃないっ!

封印なんかしなくていいから、もー帰れぇぇ!」


「おい……」


瑛さんも前にしゃがむが、

あたしは顔を上げずに罵倒し続けた。