六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】



「あわっ、あ、あの……っ」


「……こんな手っ取り早い方法はないじゃないか」


「はい……?」


顔に血が集まり、耳の後ろでドクドクと嫌な音がする。


その耳元に息をかけるように、瑛さんがささやいた。



「俺が……そうしてやろうか……?」



クラリと脳が揺れた。


違う、これ、夢だ。


絶対、夢だ。



そう思うのに、

体は素直に瑛さんに抱きすくめられてしまって動かない。



「……封印、したいんだろう……?」


「……っ!?」


脳をしびれさせる声と吐息。


その合間に、耳たぶをしっとりとした感触が包んだ。


「ひゃぁっ!」


思わず変な声が出てしまう。


そうして食べられた耳に、また音が入る。


「こんな力、いらないんだよな?」


「や、離して……っ」


「どうして?」


「どうしてって……」


「……我慢してれば、すぐに終わる」