六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】



「あっ、貴方が女だったら……」


「だったら?」


「ただ力を封印するために、そういう事を、

恋人でもない人と、できますかっ!?」


「……さぁ……女になった事はないから」


瑛さんは難しい顔をしてしまった。


もぉぉ!!ホントにバカじゃないの!?


「とにかく、あたしはイヤです!

他の方法を探しましょう!」


もうダメだ。

今日はこの話は終わりにしよう。


そうして本と巻物を片付けようとした手を、

まさかの事態が待ち受けていた。


「……忘れていた」


「!?」


なんと、瑛さんの白い手が、あたしの手をつかんだのだ。


鼓動が一気に速くなる。


「お前の母に指名されたのは……俺だったな」


「って、あの……?」


ぐい、とつかまれた手が引かれる。


一瞬、何が起こったかわからなかった。


気がつけば、腰に机の堅い感触がして、

目の前には瑛さんの顔がのぞきこんでいた。