六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】



気まずい沈黙が流れた。


いや、気まずいと思ってるのは、あたしだけかもしれない。


お母さんの事を思い出す。


『愛している人に、一生懸命愛していると伝えて』


『彼と力を封印して』



……無理じゃん!!


言えるわけない。


相手は許嫁がいる。


それ以前の問題。


それ以前の……。


うつむいたまま黙っていると、瑛さんが口を開いた。


「……誰か、選ぶか。

幸い、ここには男がたくさんいる」


「は……?」


「留衣さん、太一、外国人、使用人達……」


「まままま、待ってよ!!」


何を指折り数えてるのよ!?


なんという話を普通にしてるの!?


「やだやだやだぁ!

そんな夢の無い話、しないでよ!」


「夢だと?」


「夢というか、その、乙女としては、

そういう事は、その……っ」


「ハッキリ言え」


……っとに、このボケ忍者!!