「……伊奈が言ってた事って、間違ってなかったかもな……」
「え?」
太一の口から意外な名前が出て驚いた。
「俺等みたいな特殊な家系は、もう要らないのかもな。
現代と折り合いがつかなくて、
摩擦を産んでいくだけのような気がする」
「折り合いって……」
「俺等、後継者の気持ちとさ……。
俺等の力を利用する奴等、何も知らない人達……。
ごちゃごちゃになっちゃってるよな」
「かと言って、全滅すれば良いと思うわけじゃないでしょ?」
「そりゃ、もちろん」
清良の問いかけに、太一は素直にうなずいた。
「裏家業から撤退するかどうかは、その家ごとに決めればいい。
ところで、お前はどうしたいんだ?」
「はいっ?」
話がまとまるかと思ったら、いきなり問いかけられてしまった。
「お前は本当に力を封印したいのか?」
「僕と駆け落ちする手もあるで♪」