部屋のすみに、布団が一組。


その中に、瑛さんは横たわっていた。


誰よりもひどい怪我をした彼は、その銀髪からも包帯がのぞいていた。


しかしどこより痛々しいのは、鞭を握った左手だ。


布団から出ているそれは、

手首から五本の指先まで、丁寧に包帯が巻かれている。


そういえば、この前怪我したのは肩だったな。


布団のすぐ傍に座りながら、思い出す。


汗だくで、苦しそうに、水を飲みに台所へ来て……

アキちゃんに、カプッとかまれたんだっけ。


プッと、笑った息が出てしまった。


「あ、」


いけない。

起こしちゃった……。


瑛さんは眉間にシワを寄せたかと思うと、ゆっくりと目を開けた。