「太一……?」
一応ふすまの前で、声をかけてみる。
すると中で影が動くのが見えて、静かにふすまが開けられた。
「今瑛さん、寝てるから」
小さな声で言う太一も、腕に包帯を巻いていた。
「太一、怪我は大丈夫?」
「うん、大丈夫」
「良かった……」
太一が元気そうな事は本当にありがたいし、嬉しい。
にこりと笑うと、太一もふにゃりと笑った。
「姉ちゃん、誠に申し訳ないんだけど……
俺、トイレに行きたいんだ」
「えっ、うん」
「ちょっとだけ、付き添い代わってもらえる?」
「あぁ……
うんいいよ、行ってきて」
じゃあ、と言って太一はそそくさと行ってしまった。
ずっと我慢してたのかなあ。
悪い事したな。
「お邪魔しますよー……」
ふすまを閉めながら中に入ると、部屋中が独特の臭いがした。
多分、薬の類だろう。